2020.04.28

#6 COVID-19の影響を受けた企業・政府の、Dynatraceによるパフォーマンス分析事例

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    COVID-19が世界中の企業に影響を及ぼす中、Dynatraceのブログにて、特にアプリケーションやITサービスの急激な需要増加から、Dynatraceによる分析により、パフォーマンスやビジネスを守った事例が発信されましたのでご紹介します。

     

     

    日本語要約

    COVID-19はほんの数週間前には想像もできなかったような方法で、私たちの生活や仕事を混乱させ続けています。不確実性が高まる中、私たちは皆、デジタルサービスを通じてビジネスの継続性や従業員の生産性、顧客満足度、顧客体験を維持するために熱心に取り組んでいます。

     

    ITチームはこれらの取り組みの最前線にいます。現在、ほとんどの従業員が在宅勤務をしておりeコマースプラットフォームへの需要が常に高まっているため、アプリケーションとインフラストラクチャーは、これまでに計画されたこともテストされたこともないような新しい使用状況に直面しており、激しいプレッシャーにさらされています。

     

    ここ数週間の間に、多くのお客様がDynatraceによる洞察をより重視し、需要の増加に対応するためにプラットフォームの機能をより多く活用しているのを目の当たりにしました。組織は、リモートオペレーションを簡素化し、機能横断的なチームコラボレーションを改善することによって、拡張されたリソースをさらに活用できるようにするための新しい方法を発見しています。当社のチームは、顧客ベースでアプリケーションの利用が急増していることを目の当たりにしており、ユーザー体験とパフォーマンスを最適化するために、アプリケーションに高度な可観測性を提供することが急務となっています。

     

     

    1.保険

    課題解決

    在宅勤務をしている社員が使用しているアプリケーションのエラーをリアルタイムに解析し、最適なリモートワーク環境を維持した

     

    4万人以上の従業員を抱える米国の大手健康保険会社は、在宅勤務モデルへの大規模なシフトにより、従業員や顧客のデジタル体験が低下していることに気づきました。DynatraceのReal User Monitoring (RUM)機能と、当社のAIエンジンであるDavisからの洞察により、彼らは迅速に優先順位をつけて問題を修正し、従業員が最適なリモートワーク体験を得られるようにすることができました。

     

    DynatraceのRUMによって、アプリケーションパフォーマンスに関するリアルタイムの情報に素早くアクセスし、エラーを修正することによって、従業員の最適なリモートワーク体験の維持を実現しました。またDynatraceは、ITチームがリソースに適切な優先順位をつけることができるように、顧客のためのダッシュボードの作成を支援しました。

     

    図1は、DynatraceのRUM機能が、すべてのリモート従業員と彼らが使用しているアプリのユーザー体験を可視化する方法を示しています。(弊社補足:アプリケーション性能評価の代表的な指標である、リクエスト数・レスポンス時間・エラーの3要素を、環境や場所と紐付けて可視化を行っています)

     

     

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    図1:従業員エクスペリエンスマネジメントポータル(日本語テキストは弊社にて追記)

     

     

    図2は、それぞれセグメント別にリモートベースのアプリケーション使用率KPIを示しています。(弊社補足:図1で示した3要素の実数をランキングにしています。この事例では具体的なSLAには触れられていませんが、アプリ毎のユーザーの使用状況やパフォーマンスを確認し、リモートワーク環境でも従業員が問題なく業務を行えているのか把握することが可能です)

     

     

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    図2:アプリケーションオーバービュー(日本語テキストは弊社にて追記)

     

     

    2.政府機関

    課題解決

    リモートワークシステムのストレステスト時にボトルネック解析を行い、リソースの適正化を行うことで、リモートアクセス急増に前もって備えることができた

     

    ソーシャルディスタンス(社会的距離)を実施する中で、米国政府のある部門では、Citrixリモート環境をストレステストすることで、かつてないほどの在宅勤務の増加に備えました。Dynatraceはこのストレステストの重要な部分を担い、Citrix環境におけるパフォーマンスのボトルネックを迅速かつ自動的に特定しました。

     

    • Dynatrace OneAgentは6時間以内に2200以上のOSに導入され、すべてのOSがDynatrace Smartscapeによって自動的にマッピングされ、環境全体の全体像を示しました(図3を参照)。

    • Davis(DynatraceのAI)は、テレワークのためにCitrix環境を利用していた12,100人のユーザーに、悪影響を与えるサービスの劣化を自動的に特定しました。この分析のために、Davisは280億以上の依存関係を継続的に分析し、劣化の根本原因としてCitrix StoreFrontサービスの速度低下を特定、ネットワークとスレッディングの問題をメソッドレベルまで分析しました(図4を参照)。

    • Dynatraceの使いやすさも、これまでの成功の大きな要因となっています。Citrix Extensionは、Citrix環境全体と個々のCitrix Farmsのパフォーマンス、スケーラビリティーの可視性を提供し、パフォーマンスのボトルネックがどこで発生しているか、リソースとインフラストラクチャーをどのように適切に割り当てるか、またネットワーク、アプリ、ホストがボトルネックの原因かどうかを判断するなど、エンドユーザー体験を測定して最適化することを可能にしました。この可視性は、在宅勤務リソースの計画と拡張の鍵となり、従業員が組織のミッションをリモートでサポートし続けることを可能にします。

     

     

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    図3:Dynatrace Smartscape(日本語テキストは弊社にて追記)

     

     

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    図4:Davis(Dynatrace AI)による問題分析結果(日本語テキストは弊社にて追記)

     

     

    3.州政府、地方自治体

    課題解決

    アプリケーションのユーザー満足度、コンバージョン離脱をリアルタイムに可視化し、アクセス急増時のボトルネック(データベース同期の問題)を分析した

     

    企業は内部アプリケーションの使用量の急増だけでなく、アプリケーションに対するユーザー・トラフィックの増加にも直面しています。トラフィックパターンと潜在的なトラフィック急増の理解を促進することで、顧客体験を維持することができます。

     

    州政府や地方自治体は、公共サービスに対する需要の増加により、ウェブトラフィックが最も急増している組織の 1 つです。これらの急増の一例として、失業者向けアプリケーションがあります。このアプリケーションは COVID-19 の前に作成されたもので、通常の負荷ではユーザーの活動量は少ないと予想されていましたが、COVID-19 のパンデミックが発生したときには、アプリケーションのトラフィック量は850%と劇的に増加しました。

     

    このトラフィックの増加は、アプリケーションにアクセスを試みるすべてのユーザーに深刻な影響を与えることを明らかにしました。登録ポータルのユーザージャーニー(図5)は、ユーザー満足度やコンバージョン、離脱のデータをレスポンスやエラー、ユーザビリティーの統計とともに示しています。

     

    図5から、エラーがユーザー体験にどのような影響を与えているかがわかります。

     

    • フロントエンドのUIは、データベースのアクティビティーが完了するのを待たず、UI内に他のコンテンツを表示するように設計されていました。

    • 負荷の場合は、データベースの反応が非常に良かったので問題なく動作しましたが、極端な負荷がかかると、バックエンドのデータ

      ベースがまだ完了していないアクティビティーに依存したコンテンツをUIが表示しようとするため、同期の問題が発生しました。

    • COVID-19のパンデミック以来、失業者向けアプリケーションは、1日に700万件以上のエラーが発生しています。

     

     

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    図5:登録用ポータルユーザージャーニー(日本語テキストは弊社にて追記)

     

     

    最後に

    これらは、組織がどのようにDynatraceを使用して、私たちの新たな「平常時」の負担を軽減しているかの一例に過ぎません。Dynatraceは、お客様のユーザー体験の最適化やプロアクティブなオペレーションの実現、ビジネスの継続性の確保を継続的に支援しています。デジタルトランスフォーメーションを加速させるためのヒントや洞察力をお求めの方、またはDynatraceプラットフォームの知識を向上させたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。SaaSサービス計測のRUM機能は、2020年9月19日までの新規ユーザーは無料でご利用いただけます。

     

     

    ※本記事の原典はDynatrace社のブログ
    Helping your digital services run optimally for your customers and employees during COVID-19」となります。


     

    執筆者

    K.O. 

    営業技術本部 戦略ビジネス統括部 デジタルビジネスソリューション部 

    パフォーマンス管理製品のプリセールスを担当
    お客様向けの提案作成から導入、活用までを支援

    ■経歴
    2011年  入社
    2012年~ ソリューション営業を担当
    2017年~ プリセールス担当へ異動

    プライベートでは双子男児の父で、休日は育児一色
    多忙を極めるも双子の成長が一番の喜び

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