2020.03.16
#3 Classic APM(AppMon,DCRUM)を新しいintelligence platformであるDynatraceへ
目次
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Classic APMをDynatraceへ移行しよう
上記内容は、Dynatrace社主催のグローバルAPMカンファレンス『Perform 2020』*1 のあるセッションにおけるテーマです。
Classic APMとは、Dynatrace社が取り扱うAppMon*2 や、NAM(DC RUM)*3 といった従来のAPMツールのことを指しています。これらは、複雑化するSOAで構築されたシステムを理解するために必要不可欠なツールでありました。
しかし、クラウド化が進んだ現在のシステムに対する要件は、当時と比べて劇的に変化しています。弊社のお客様でも、まだClassic APM からDynatraceへの移行が完了していないお客様もいらっしゃいますが、本記事では新しいintelligence platformであるDynatraceへ移行する価値についてお伝えできればと思います。
Dynatraceが求められる時代の変化
時代はエンタープライズクラウドへと移行しています。
従来はSOAの考え方を元に構築したシステムが主流であり、それらを理解し、分析し、管理を行うためにはAPMツールであるAppMon・NAM(DC RUM)が必要でした。
現在はどうでしょうか。コンテナ技術・マイクロサービス化・ハイブリッドクラウド・IoT・サーバーレス……と言った新しいエンタープライズクラウドの時代へと変化が起きています。
システムが変わると関連する悩みや課題も変化します。エンタープライズクラウド化が進むことによって生じる悩みとしては、例えば下記のようなものがあげられるでしょう。
- システム規模が動的に変化するようになること
(自動なのはいいが、どのように管理するのか?)
-
システムはいつでも利用できるものという”ユーザーからの期待”を実現すること
(いつでも利用可能であることをどのように可視化するのか?)
- 開発速度を向上させること
(増員も無いのにどのように実現するのか?)
このような課題を解決できるのはClassic APMではなく、新しいDynatraceです。
しかし、Dynatraceによるユーザーアンケートによると、現在もなお4割以上のユーザーがClassic APMを使用し続けています。
新しいDynatraceとClassic APM
新しいDynatraceの特徴はフルスタックでの監視・AIの利用・オールインワンのプラットフォーム・自動化が挙げられます。これらのような特徴によって、Dynatrace1つで様々な観点からの上述した悩みや課題の解決が可能になります。
ではここで改めて、Classic APMのうちのAppMonと、新しいDynatraceを比較してみましょう。
AppMon | Dynatrace | |
ンストール | テクノロジー別に実施 | OneAgentのみ |
セットアップ | 手動で行う | 全て自動 |
対象領域 | APM | All in One(APMはもちろん、クラウド、AIOps、インフラ、DX等も含む) |
アウトプット | 収集データを表示 | 収集データを元に答えを導く |
対象システムの スケールへの対応 |
制限がある(Agentのインストールが煩雑) | Webスケール |
対応環境 | KubernetesやOpenShift、PCFには未対応 | 新たなテクノロジーに迅速に対応 |
リリース頻度 | 年に1、2回、手動更新 | 年に25回、自動更新 |
比較結果を見ると、AppMonと比べ、新しいDynatraceは簡単であること・自動であることが非常に強化されている印象を受けます。
新しいDynatraceへの移行事例
セッションの後半では、実際にClassic APMからDynatraceへ移行されたユーザーの事例発表がありましたので、その一部として、24 Hour Fitness社のAppMonからDynatraceへの移行事例をご紹介します。
24 Hour Fitness社におけるAppMonからの移行事例
同社は、14の州に約400万人の会員と440のクラブ数をもつアメリカのフィットネスクラブです。
コードレベルでの分析が可能になることなどから、同社は、AppMon をAPMツールとして2015年から採用しました。しかし、ボトルネックにたどり着く操作が直感的でなく迷子になってしまったり、人員・予算の不足などの問題から、AppMonでは”成功しなかった”とのことです。
Dynatraceへの移行は2017年から2018年で実施しました。Dynatraceでは、直感的な操作によって迷子になることなく分析結果にたどり着くことや、セットアップ・構築スピードが上がったために人員不足による問題を解決することできるようになり、Dynatraceへの移行により、”成功した”とおっしゃっていました。
Dynatrace移行における教訓としてあげられていた内容は下記となります。
-
Dynatraceへ移行した結果、どのようなことを実現したいかビジョンをもっておくこと
-
独りでやらないこと(ベンダー・内部のチームメンバーと共に取り組むこと)
-
対象サーバーの情報(メモリやトランザクション数)を把握しておくこと
-
Dynatraceは自動で設定してくれるが、システム構成に合わせた設定も検討すること
(ホスト・プロセスを機能・役割別にグループ設定、ログインユーザー毎に情報へのアクセス制御設定)
まとめ
Classic APMからDynatraceへ移行することは、一言ではありますが、簡単なことではありません。
ですが、Classic APMより格段に進化したDynatraceを活用し、ITの悩みや課題の解決に役立てていただきたいと思っています。
また、今回ご紹介いたしました24 Hour Fitness社とDynatrace社のように、弊社も皆様のDynatraceへの移行・活用をパートナーとしてサポートさせていただき、”成功”に貢献できますと幸いです。
*1 Perform 2020:Dynatrace社主催のグローバルAPMカンファレンス(米国/欧州/アジアで開催)
*2 AppMon:Dynatrace社が開発・販売を行っていた、Agent型でデータ収集を行うAPMツール(販売は終了しています)
*3 NAM(DC RUM):Dynatrace社が開発・販売を行っていた、アプライアンス型でパケットキャプチャ方式でデータ収集を行うAPMツール(販売は終了しています)
執筆者
Y.I.
営業技術本部 技術サービス統括部 技術サービス1部
お客様担当SEとして、製品の構築から活用方法までの一連のサポートを担当
お客様環境にて性能問題が発生した際には、製品のアウトプットを利用し、問題解決に向けた調査/提案業務を実施
■経歴
2017年 入社
2017年9月~ 2018年2月まで西日本でのお客さまサポートを担当
主にシステムリソース情報からの性能管理サポートに従事し、近年は、上記に加えAPM製品を利用したユーザー体感レスポンスやアプリケーション視点での性能管理サポートにも従事。現在に至る
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