導入経緯

2025年末に迫ったSAPのERP 6.0（ECC 6.0）のサポート終了に向けて、ECC6.0を利用する企業は対応を行う必要があります。


SAP S/4HANAへの刷新が進む中、SAP Business Technology Platform（以下「SAP BTP」）を利用して、SAPが持つ資産を活用しながらSAPアプリの拡張や新規アプリ開発を行うケースが増えています。

大手製造業A社様では、SAP BTPを新規開発アプリのプラットフォームとして採用し、ローコード開発ソリューションを導入されました。

こちらのお客様では、SAP BTPを採用するにあたり、PaaS環境でのアプリケーションの可観測性（オブザーバビリティ）が課題となりました。そのため、新規開発アプリケーションの可観測性を向上させるために、Dynatraceを導入いただきました。

ソリューション詳細

たった２つのパラメータ設定でsAP BTP環境全体を可視化

Dynatraceでは、従来、監視が困難だったPaaSやコンテナを使⽤したマイクロサービス環境でも、アプリケーションパフォーマンス監視やユーザー体感監視を含む、システムの全レイヤーにおけるエンドツーエンドのモニタリングを実現します。

SAP BTP環境では、Dynatrace SaaSの環境IDとアクセストークンをサービスインスタンス起動時のパラメータに追加するだけで、コンテナ⽣成時に監視エージェントが⾃動的に組み込まれ、すぐに監視が開始されます。

SAP BTP環境のアプリを使うユーザーの体感を可視化

SAP BTP環境でローコード開発ツールを使⽤し、多数の新しいアプリを開発しています。

Dynatraceによって、リリースされたアプリや新機能が実際のユーザーにどのように使⽤されているか、パフォーマンスが良好か、エラーが発⽣しているかを⾃動的にリアルタイムで把握することができるようになりました。

ユーザー体感を悪化させているボトルネックをコードレベルで分析可能に

アプリや新機能のリリース直後にパフォーマンスの問題が発⽣しても、すぐにコードレベルでボトルネックを分析することができるようになりました。

これにより、事象を再現する必要がなくなり、多数のログを突き合わせる必要もなくなりました。さらに、結果はWebブラウザで確認できるため、リモートワークでも効率的に改善を⾏えるようになりました。

平常時と異なる挙動を検知し、予防保全

Dynatraceを使⽤することで、アプリの本番リリース後に⾃動的にベースライン（動的しきい値）を作成し、パフォーマンス計測を⾏うことができます。⼿作業でのしきい値の修正は不要です。

また、アプリや機能ごとに「いつもと異なる挙動」（パフォーマンス遅延やエラー率増加）があれば、それを検知し、根本原因を分析し、アラートを通知することができます。

これにより、インシデントがユーザーに影響を与える前に対応することができるようになりました。

複数の環境を⼀元管理

今後は、SAP BTP環境だけでなく、基幹系システムやSaaSシステムなどもDynatraceで監視する予定です。

Dynatraceは、⼤規模環境を組織的に監視することを前提に、取得データの論理分割機能やユーザーのグルーピング、権限管理機能などを備えています。

これにより１つのソリューションで広範に監視を⾏うことができるようになる⾒込みです。

2024年掲載